Dress Line "Suits"

弊店のメニューの主役「オーダースーツ」についてご説明いたします。ザ・ドレッシング・ラボのご提案するスタイルをベースに、お客様お一人お一人のお体とお好みに合わせて、細かい補正を施しながらお仕立てする、パーソナルオーダーのスーツです。

弊店のハウススタイルは、あえて申し上げるとイタリアンスタイルです。柔らかいイタリアの仕立てを日本の職人の手で具現化しておりますので、イタリアのサルトが仕立てたスーツの様に、柔らかく、軽く、丸みを帯びたフォルムでありながら、日本の仕立てらしく、とても緻密で丁寧な縫製で、端正な仕上がりです。また、オーダーメイドにとって大切な「寸法がご希望に近い形で仕上がってくる事」も、日本の職人ならではの素晴らしい点と言えるでしょう。

弊店のオーダースーツは、日本最高峰の仕立て工場にて、「総毛芯(フル毛芯)仕様」(肩から裾まで、バス芯と言われる馬の尻尾の毛をベースにした芯を用いた伝統的かつ最高級の仕様)にて仕立てられています。じっくりと時間をかけて、アイロンをかけて縫っては休ませる工程を繰り返す為、仕立て上がりまで少々時間がかかりますが、その分立体的で丸みを帯びた仕上がりは格別です。仕立てに必要な時間をかけた分、アイロンワークで形作ったフォルムが定着し、形崩れし難いのが弊店のスーツの特徴です。

総毛芯仕立てのメリットは、仕上がりが構築的で、かつ半永久的にそのフォルムが維持される事です。その一方で選択する毛芯次第では、接着芯や半毛芯と比べて固さや重さなどのデメリットを挙げられる事もある総毛芯ですが、弊店は毛芯の中でも復原力に優れつつ、極力軽く柔らかい芯をセレクトしています。それにより総毛芯仕立てならではの立体感と、毛芯の存在を感じさせない柔らかさ・軽さを両立させています。

「ナチュラルショルダー」と「殺し襟」

「ナチュラルショルダー」と「殺し襟」

肩パッドを入れずに、毛芯のみでナチュラルに柔らかく仕上げたショルダーライン。極端に撫で肩過ぎず、軽快さと折り目正しさがバランス良く共存しています。また肩パッドは特に気温の高い時期には案外暑く感じるもの。毛芯のみの仕立ては着心地が軽いだけで無く、通気性にも優れ、涼しいです。

上襟の見事な「のぼり」にも注目下さい。ナチュラルなショルダーラインから上襟が力強く立ち上がり、首にフィットする「のぼり」。見た目の美しさに加えて、首から肩にかけて心地良く吸い付くフィット感は抜群です。これは「殺し襟」という仕立て技法によるものです。物騒な表現に聞こえますが、テーラー用語で、アイロンにより生地を変形させる事を「殺す」と表現します。殺し襟とは、最初から上衿の形に曲線に裁断した生地を使うのでは無く、元々は真っ直ぐな一枚の生地を、湾曲した上襟の形にアイロンで成型し仕立てた襟の事を指します。それにより立体的で復原力のある上襟となり、フィット感がとても高くなるのです。

弊店の上襟の構造は、「襟が抜けてしまう」とお悩みの方の助けとなるでしょう。ジャケットの上襟が首から離れてしまう、「襟が抜けてしまう」現象は、仕立ての良し悪しだけで無く、胸のボリュームのある方(鳩胸の方)や背中の丸みの強い方(猫背の方)などお召しになる方の体型が大きく関わってくる部分でもありますが、この「殺し襟」と「体型補正」が組み合わさる事で、「襟抜け」の心配は解消致します。また肩と首全体にジャケットの重量が分散される事で、着心地が非常に軽く、動きやすさとの相乗効果で一日着ていても疲れないのも大きなメリットです。

袖付けとアームホール

袖付けとアームホール

袖付けについて。袖山(袖の付け根の一番高い部分)も極力柔らかく薄い芯をセレクトする事で、ナチュラルなショルダーラインからの繋がりを良くして、素直に袖が落ちる様にしています。少しでも着心地と見た目が軽快になる様にという工夫です。

すっきりと見えますが、実は肩と袖にはしっかりと「いせ込み」(体の動きに追従する為に、主にジャケットの肩周りにアイロンで殺して隠されたゆとり分量)が入っており、縫製の最初から最後まで徹底的に意識され成型された前肩の加工(肩の一番前に突き出している部分が収まる様にジャケットに設けられたスペース)と相まって、フィットしながらも窮屈なストレスが無い、理想的な着心地を実現しています。また、アームホールは空豆型で、必要最低限な大きさとなっており、それにより運動量を確保しながら最適なフィット感を実現しています。

腰の曲線に柔らかく沿う腰ポケット

腰の曲線に柔らかく沿う腰ポケット

腰ポケットは両玉縁ポケットを採用しています。腰ポケットはデザイン上、腰の曲線が強い位置に配置される為、もし玉縁ポケットが固い作りだと、せっかくの腰の曲線が殺されてしまいます。弊店の玉縁ポケットは手作りをされており、段差が無く細く均一に仕立てられている上に、とても柔らかく腰に沿う様に仕立てられています。フラップ(雨蓋)の浮きも無く、まるでポケットが無いかの様に、身頃にぴったりと馴染んだ両玉縁ポケットは、良い仕立ての証です。ポケットのサイドはD閂(ディーカン)と呼ばれる、アルファベットのD型のステッチで補強されています。当たり前過ぎて見過ごされがちな腰ポケットですが、細かい仕事がされています。

バルカポケット

バルカポケット

胸ポケットについて。弊店のオーダースーツの胸ポケットは「バルカポケット」を採用しています。「バルカ」barcaとはイタリア語で「小さな舟」の事。まっすぐな作りの胸ポケット「箱ポケット」と異なり、ポケットがカーブを描き、向かって右上の角が船の舳先の様に尖った胸ポケットを「バルカポケット」と呼びます。職人の手仕事により、まるで船底の様に下辺が美しいカーブを描きます。立体的な胸のボリュームに胸ポケットが美しく沿う様にと考案された仕様で、良い仕立ての証であると共に、右肩上がりのフォルムが力強く、美しいです。バルカポケットの口の角度に合わせてポケットチーフ(ポケットスクエア)を挿すと、さらに美しさが際立ちます。

前振り&テーパード袖

前振り&テーパード袖

袖について。特に男性の腕は、力を抜いて下ろすと筋肉の影響で体の真横では無く手の平が太腿の前に来る程、前に湾曲しています。その腕にフィットする様、スーツの袖も当然「前振り」に仕立てています。それにより前への可動域が広がり動きやすいのはもちろんの事、腕を下ろした際にきれいに袖が腕に沿って落ち、とても美しいのです。もちろんお客様それぞれで腕や筋肉の付き方は異なりますので、お客様の腕の向きと太さをフィッティングにて確認し、それに合わせてスーツの袖を調整します。

また弊店のスーツの袖は、肘から袖口に向かって徐々に絞って細くなっています。それにより、パンツのテーパードライン(先細りのシルエット)と同じ様に、袖の付け根から肘、袖口に向かってテーパードラインが生まれ、シルエットの美しさと共に、動いても袖口が一定の位置にあり乱れないというメリットがあります。

八刺しとフラワーループ

八刺しとフラワーループ<

本格的な仕立てのジャケットですとお約束とも言えるディテールですが、弊店のラペル(下衿)も八刺し(はざし)が施されています。「八刺し」とは縫い方の名称で、八の字の様に縫う事から付けられました。芯を生地に貼り付けるのでは無く、芯と生地を糸で細かく縫い止める事で、柔らかく自然な襟のロールを生む手法です。またフラワーホールに花を挿した際に茎を通せる様、フラワーループを付ける一手間も忘れません。

ラペルの幅とロール

ラペルの幅とロール

ラペル(下襟)について。弊店オーダースーツのラペルの幅はお好みとお客様のご体型により調整が可能ですが、やや広めの「ワイドラペル」が基本のご提案です。ご注文のサイズにもよりますが、9cm前後が基本となっております。クラシカルで堂々とした印象を与えますし、広いラペルから深いフロントカットへと続くX字のラインは普遍的な格好良さがあります。

ラペルのロールについて。ロールという表現の通り、ラペルとは本来折り曲げるのでは無く、自然にふんわりと丸く返るのが理想的です。弊店スーツのラペルロールは見所です。時にはクローゼットでラペルのロールが圧迫されて潰れてしまう事があるかも知れませんが、心配はご無用です。毛芯と八刺しとアイロンワークで成型されているものなので、プレス直しをしてあげる事で見事に復活します。

ベストとパンツとのバランス

ベストとパンツとのバランス

オーダースーツをご提案するにあたり、ジャケットとベスト、パンツの関係をお話しない訳にはいかないでしょう。スーツはもともとジャケット・ベスト・パンツのスリーピース(三つ揃え)を指す言葉でした。その後時代の流れと共にベストは省略され、スーツ=ツーピーススーツ(ジャケット・パンツ)となりましたが、弊店ではスリーピーススーツの格好良さをぜひ体験頂きたいと思い、お勧めしております。そして3ピーススーツこそ、オーダーメイドである事が大切になって参ります。まずはジャケットのVゾーン・ボタン位置とベストのVゾーン・ボタン位置の関係、さらにベストの着丈とパンツの股上の関係。そしてもちろんお召しになられる方のお体の特徴。これらを総合的に見極めた調整は、調整の許容範囲が広いハイオリティのオーダーメイドと、相応のフィッティング技術無くしては実現しません。ザ・ドレッシング・ラボのオーダーメイドスーツにて、ジャケットとベスト、パンツの流れる様な統一感を堪能頂けると幸いです。

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