Dress Line "Vest"

ザ・ドレッシング・ラボのオーダーメニュー「ベスト」Vestをご紹介します。「ベスト」は「ウェストコート」「ジレ」など複数の呼び方がありますが、弊店では「ベスト」と呼んでおります。弊店のベストはジャケットと共通のコンセプトにて、柔らかく立体的に仕立てられています。胸にはボリュームがありつつ、ウェストはシェイプしているので、体にフィットすると共に、ジャケットを脱いだ際にもボディラインを美しく見せてくれます。襟付きのベストに関しては、立体的な襟のロールを楽しんで頂けます。

このベスト、現代ではフォーマルかオシャレの為の特別なアイテムと捉えられる方も多いと思いますが、元々はベストは特別なものでは無く、スーツにベストを着る事は当たり前でした。と言いますか、ジャケット+ベスト+パンツ揃ってこそのスーツだったのです。

現代のスーツの起源は17世紀、イギリス王チャールズ2世が貴族の倹約を目的として発令した衣服改革宣言にあると言われています。そこで上着(コート)+ベスト+パンツ+シャツ+タイという現代のスーツに繋がる新しい着こなしを提唱するのです。その着こなしは、イギリスはもちろんフランスなどヨーロッパ中の貴族に普及、大流行するのでした。

ただしその元祖ベストは現代のベストとは似ても似つかない、丈が長くて袖付きの服でしたが、一方で現代のベストに繋がる要素もしっかりと見受けられます。シャツを隠す様にボタンでぴったり前を閉める事(その代わり上着はボタンを開けるのがルールでした)、そして倹約の目的もあり上着に隠れる袖と背中は薄い別布で仕立てられた事(背中に裏地を使うのは滑りを良くする目的以外に、この元祖ベストの名残とも言えます。)、そして上着の中に着るインナーであった事。こうして見ると、ベストの役割は今も昔も変わっていませんね。当初は丈が長く袖付きだったベストも、ジャケットの袖が細くなるにつれベストの袖が付かなくなり、丈も腰丈となり今のベストの形に近づいていきます。

いかがでしょう。17世紀イギリスにてスーツのドレスコードが作られますが、それはジャケット(当時はコート)+ベスト+パンツ+シャツ+タイでした。ベストはフォーマルでもオシャレでも無く、スーツには必須だったのです。それが時代の流れと共に着こなしのルールが甘くなっていき、下着としてのシャツを見せる事が許される様になると共に、シャツを隠す役目をしていたベストも省略される様になっていきます。多くの方がベスト=フォーマルと認識されるのは、フォーマルウェアにはいまだに伝統的なドレスコードが残っている事(特に正礼装、準礼装においてははっきりとしたルールがあります。)、またフォーマルシーンにおいては伝統的な格式の高い着こなしが求められる事を表しています。この様に元々はベストあってのスーツ、ベストを着る事で見た目も気持ちも引き締まりますし、着こなしの格が上がります。ぜひスーツの歴史に想いを馳せつつ、ベストの着こなしを楽しんで頂きたいものです。

さて、続いてはベストのサイズ感(フィッティング)について。ジャケット、パンツのフィッティングも大切ですが、ベストこそオーダーメイドで無いといけないと思います。まずベストはジャケットの中に着る前提の服ですから、体にぴったりと沿っているのが前提です。ウェスト周りはお好みで多少ゆとりを多く入れる事はありますが、胸周りだけはジャストフィットがお約束です。体にフィットしたベストは着心地が良いだけで無く、体を引き締めて、たくましく見せてくれる効果があります。

丈も重要です。ベストの丈は、起立した状態でパンツのバンドが半分から全部隠れるくらいが理想です。真っ直ぐ立っている状態でパンツのバンドが完全に見える様な丈だと、ベストとパンツの間からシャツが出てきてしまったり、座った時に背中が見えてしまったりと、みっともない問題が発生します。一方長すぎる丈は胴を長く見せてしまい、精悍さが失われてしまいます。ベストを着る際はパンツの股上との関係もありますが、長すぎず短すぎずの慎重な丈の調整が必要となるのです。この事からもベストはオーダーメイドをお勧め致します。

同じ生地の上中下で3ピーススーツとして着るベスト以外に、「オッドベスト」という着こなしもお勧めです。オッドベストとは単品のベスト、替えベストの事。スーツやジャケットにオッドベストを組み合わせたり、シャツとパンツだけだと物足りない時にオッドベストを着たり、はたまた冬にコートのインナーにオッドベストを合わせるなんていう着こなしも素敵です。アウターとインナーの中間に位置するベストは、体温調整の役割以外に着こなしのアクセントとなり、インナーとアウターの繋ぎ役となってくれます。生地についても触れておきましょう。フォーマルなオッドベストですと無地が基本ですが、幅広く着まわす事を考えると、無地でも素材感があるものや、チェック柄等はオッドベストにうってつけです。合わせたいスーツやジャケットを教えて頂ければ、最適なオッドベストの生地をご提案致しますので、ぜひお任せ下さい。

ベストにもデザインバリエーションがあります。基本的なデザインは襟なしのシングル6つボタンの5つがけ(一番下は飾りなので開けておきます。)ですが、襟つきのモデルやダブルブレステッド、フォーマル向けのご提案もございます。ここぞという時用のダークスーツを3ピースで仕立てて正統派の着こなしを楽しむも良し、汎用性の高いオッドベストで一味違った着こなしを楽しむも良し。ベストを一回着てしまうと、無いと物足りなく感じると思います。ぜひザ・ドレッシング・ラボでご自身のお体と着こなしのテイストにぴったりと合うベストをご注文下さいませ。

RYO IKEDA ビスポークシャツ受注会
2024年12月13日(金)〜12月14日(土)
13:00〜19:00(予約制)

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シャツの仕立て職人・池田亮さんに来店いただき、
弊店では初となるビスポークシャツの受注会を開催することとなりました!

受注会について、まずはブログ記事をぜひご覧ください。
RYO IKEDA ビスポークシャツ前編「チョアジャケット」
RYO IKEDA ビスポークシャツ後編「ドレスシャツ」

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