Dress Line "Chester Coat"
ザ・ドレッシング・ラボのオーダーコート Chester Coat(チェスターコート)をご紹介します。
Chester Coat(チェスター コート)
ドレッシングラボのオーダーメイドでお仕立てするChesterfield Coat(チェスターフィールドコート)。「チェスターフィールドコート」の由来は19世紀にこのタイプのコートを考案し世に広めた、チェスターフィールド伯爵の名前をとったものです。
今でこそコートの中では最もフォーマルに分類されるチェスターフィールドコートですが、防寒着として重厚かつ丈の長いコートが主流だった当時、丈が短くウェストもシェイプしたチェスターフィールド伯爵のコートは、防寒目的よりもおしゃれ目的優先の、軽快に羽織れる画期的なコートでした。その様に誕生したこのお馴染みのコート、「チェスターフィールドコート」が正式名称ですが、少々長いため略して「チェスターコート」という名称が日本では一般的となっています。
元々は紳士服から生まれたチェスターコートですが、現代ではメンズ・レディース問わず定番のコートデザインの一つとなっています。エレガントな雰囲気がありつつ、フォーマルからカジュアルまで着回しができる万能性が、チェスターコートの人気の理由です。
ドレッシングラボのオーダーメイドチェスターコートのデザインバリエーションと特徴をご紹介して参ります。
立体的なテーラードのフォルム
チェスターコートの何よりの特徴は、まるでジャケットをそのまま丈を長くした様なテーラードのデザインにあります。ジャケットと同じ様に毛芯を用いて、構築的に仕立てます。弊店で取り扱いのあるステンカラーコートやラグランコートにも襟がありますが、ジャケットと同じラペルがあるのはチェスターコートだけです。このラペルのロール感やボリュームが、第一のチェスターコートの見どころです。チェスターフィールド伯爵の考案した元祖チェスターコートの源流を汲む、ボリュームを持たせた胸からくびれたウェストにかけての滑らかなシェイプが本来のチェスターコートです。
ドレッシングラボならではの
ナチュラルショルダー
オーダージャケットの仕立てと同じく、チェスターコートの仕立ても肩パッドを入れた構築的な肩や、肩パッドを無くしたナチュラルな肩など、様々な仕立て方があります。ドレッシングラボのチェスターコートは、ジャケットのコンセプトと同じく、出来るだけ軽く柔らかい着心地となる様、肩パッドの無い「ナチュラルショルダー仕立て」になっています。これにより軽量な仕上がりになると共に、着心地・見た目共に柔らかくなり、カジュアルなコーディネートにも対応し易くなります。
襟の登りと抜群のフィット感
コートの襟が首に向かって立ち上がって吸い付く様にフィットする「登り襟」は、ドレッシングラボのチェスターコートの特筆すべきポイントです。コートの襟が抜けて、ジャケットの襟が覗いてしまうのは絶対避けたいところ。弊店のチェスターコートは職人の手仕事による襟と肩の仕立てにより、ナチュラルな肩のラインから襟が立ち上がり、中にジャケットを着ているかどうか分からないくらいに、首と肩にフィットします。
見た目だけでは無く、しっかりと首を高い位置まで覆ってくれる事で暖かいですし、何より首と肩にコートがフィットすることで重さが分散され、コートの重さを忘れてしまう様な軽い着心地が実現します。
シングルとダブル。チェスターコートのデザインバリエーション
続いてデザインのバリエーションを見ていきましょう。チェスターコートには大きく分けてシングルブレステッドとダブルブレステッドの2種類があります。それぞれ「シングルチェスター」「ダブルチェスター」と呼ぶのが一般的です。
シングルチェスター
シングルチェスターには通常の「ノッチドラペル」と「ピークドラペル」の2種類があります。一般にラペル幅が細いほどモードっぽく、太いほどクラシックな印象になります。弊店ではクラシックで堂々とした、太いラペルをご提案しています。もちろんお好みで、少し細くしたりさらに太くしたりといったアレンジも可能です。
ノッチドラペル
ピークドラペル
ダブルチェスター
ダブルチェスターは、フロントがダブルブレステッドになっていて、襟はピークドラペルが基本となります。この辺りは、ジャケットと同じです。シングルチェスターと比べると襟幅も広く、重厚なイメージのあるダブルチェスターですが、弊店のダブルチェスターは柔らかくカーブしたラペルや、パッドの入らないショルダーラインなどソフトで重すぎない雰囲気に仕上げています。
同じくダブル仕立てのポロコートに似ていますが、ダブルチェスターはディテールがよりシンプルです。ポロコートもとても素敵ですが、背中のプリーツやターンナップカフ、フレームドパッチポケット等、その独特のディテールゆえインパクトが強いので、シンプルなダブルのコートをお求めでしたら、ダブルチェスターをお勧めします。
特徴的なチェスターコートの袖口
チェスターコートの袖口も特徴的です。ステンカラーコートやラグランコートでは雨風の侵入を防ぐスポーティーな「タブ付き」や何も付かない筒袖ですが、チェスターコートはジャケットと同じく「4つボタン」が基本です。弊店では本切羽(本開き)が標準で、ボタンの付け方は「重ね付け(キッスボタン)」か「並べ付け」をお好みでお選び頂けます。
「両玉縁」か「箱ポケット」か。
腰ポケットについて
両玉縁ポケット
箱ポケット
チェスターコートの腰ポケットの基本は、スーツの腰ポケットでもお馴染み、フラップ付きの「両玉縁ポケット」ですが、斜めの「箱ポケット」もご用意しております。手の出し入れがし易いことに加えて、スポーティーな印象になります。
スポルベリーノ
このチェスターの腰ポケットを斜めの箱ポケットにして、丈を短く軽快に仕立てたコートは、イタリア発祥のカジュアルなコートで「埃除け」を意味する「スポルベリーノ」と呼ばれます。英語で表現すると「ダスターコート」ですね。ジャケット代わりに気軽に羽織るのにうってつけの仕様です。
チェンジポケット仕様
通常の腰ポケットの上に小さなポケットを付けた仕様もお仕立てできます。
この小さなポケットは「チェンジポケット(change pocket)」と呼びます。この場合のchange(チェンジ)とは釣り銭(小銭)のこと。チップ文化のある欧米では、チップを渡す際に小銭をスマートに取り出せる様、ジャケットやコートに財布替わりに釣り銭を入れる為のポケットが広まったと言われています。日本だと実際に使う機会は無さそうなチェンジポケットですが、クラシックで紳士的なディテールと言えます。
バックベルト仕様とベルトレス仕様
背中にはお好みでバックベルトをお付けする事ができます。表情のあるバックベルト仕様か、すっきりとしたベルトレス仕様か、皆様大変迷われます。これもオーダーメイドならではの楽しみの1つ。
バックベルト仕様
バックベルト仕様は、見た目のアクセントに加え、腰位置を高く見せる効果があります。バックベルトをお付けする際は、実際の身頃の幅よりも、あえてバックベルトを短くお仕立てします。それにより、ウェストのドレープが生まれ、より表情豊かなバックスタイルとなります。
ベルトレス仕様
一方でシンプルなベルトレス仕様も素敵です。バックベルト仕様かベルトレス仕様か、どちらも魅力的で悩ましいですが、お好みやお選びになる生地と合わせてご提案申し上げます。
オーダーメイドならではの色選び、生地と仕立ての組み合わせ
アメリカの大統領就任式でも着用されるなど、最もフォーマル度の高いチェスターコート。ネイビーやチャコールグレーのカシミヤやウールで仕立てたチェスターコートをダークスーツに合わせれば、隙の無いエレガントなコーディネートが完成します。
一方でキャメルやブラウンなどアースカラーで仕立てると温かみと華やかさがあり、これまた大変素敵です。また、あえてコート生地では無く、ジャケット生地やスーツ生地で軽快なスポルベリーノ調に仕立てるのもお勧めです。生地と仕立ての組み合わせ次第で、自在に料理できる懐の深さがチェスターコートの魅力です。
チェスターコートのオーダー事例
ピアチェンツァ社のウールカシミヤで仕立てたネイビーのシングルチェスター(ノッチドラペル、チェンジポケット仕様)
ピアチェンツァ社のウールカシミヤヘリンボーンで仕立てたベージュの「スポルベリーノ」(箱ポケット、大身返し)
ドラッパーズ社のウールカシミヤ「トップライン TOP LINE」で仕立てたグレージュの「スポルベリーノ」(箱ポケット、胸ポケット無し、大身返し)
ロロピアーナ社の「ペコラネッラ PECORA NERA」で仕立てたブラウンのダブルチェスター
ロロピアーナ社のベイビーキャメルで仕立てたダブルチェスター(チェンジポケット、バックベルト仕様)
ロロピアーナ社のウールカシミヤで仕立てたチャコールグレーのダブルチェスター
ピアチェンツァ社のベイビーカシミヤ&ビキューナ「コクーン Cocoon」で仕立てたネイビーのダブルチェスター
ドレッシングラボのオーダーチェスターコートは、伝統的なチェスターコートの仕立てを踏襲しつつ、イタリアの流れを汲んだ軽快で柔らかい仕立てとなっておりますので、ビジネスシーンやフォーマルシーンに留まらず、お休みやカジュアルなシーンで、ニットやシャツの上からジャケット代わりにさらっと羽織って頂くなど、コーディネート次第で着回しの幅が広いのが魅力です。
より軽快な仕立てをご希望の方は、裏地を省いた大身返し仕様や、コート生地よりも柔らかく軽いジャケット生地でスポルベリーノ調にお仕立てするのもお勧めです。裏地やボタン、ネーム刺繍などもお好みでお選び頂けます。この様に世界に1着だけのお好みの味付けのコートが手に入るのは、オーダーメイドならではの楽しみです。
19世紀に画期的なファッションアイテムとして生まれて以来脈々と受け継がれたチェスターコートは、現代の秋冬コーディネートにおいても欠かせない存在です。スーツスタイルからカジュアルスタイルまで活躍するチェスターコート。長く着られるコートこそ、お好みの生地とディテールにてオーダーメイドされるのはいかがでしょうか。チェスターコートのご購入をお考えの方は、ぜひドレッシングラボにご相談下さいませ。ずっとご愛用頂ける特別なチェスターコートの仕上がりをお約束します。