Caccioppoli(カチョッポリ)
伊ナポリにて1920年に創業。今もナポリの中心地にて家族経営を続けている、イタリアを代表するマーチャントの一つです。私自身も大ファンで、独立する以前からお客様に数えきれない程お勧めをしてきた生地ブランドです。
カチョッポリ最大の魅力は、そのイタリアらしさ、ナポリらしさにあるのではないでしょうか。カチョッポリはマーチャントですので、自分たちで織る訳では無くミル(生地メーカー)に織ってもらうのですが、その生地の方向性にははっきりと分かるカチョッポリらしさが貫かれています。カチョッポリらしさ=イタリアらしさと言えます。イタリア製の生地と言われた時頭に浮かぶイメージに最も近い生地を生み出しているのが、カチョッポリかも知れません。ダークからライトまで、圧倒的なブルーのカラーバリエーション(イタリア人はブルーをとても大切にします。カチョッポリにお勧めの生地を聞く度にまずはブルーを勧められます。)、ビビッドな差し色やニュアンスのある色の選択。ちょっと不良っぽくて、でも気さくなナポリの気質が現れています。そしてナポリの街、そして山と海と言ったナポリの自然が生地の色使いにはっきりと現れています。カチョッポリはナポリと共に、どこまでもカチョッポリです。
カチョッポリらしさを前面に出しながら、独りよがりでは無く、実は真面目に仕立て屋とお客様に求められる生地を提供し続けようとする姿勢、それがカチョッポリの裏の顔です。彼らは毎シーズン世界中のクライアントを巡り、新コレクションをプレゼンしつつ店舗の要望やトレンド情報をキャッチして、それを次の物づくりに活かします。弊店の様な小さな店に足を運ぶ事自体、彼らの真摯な姿勢が伺えます。ちょうど生地のプレゼンに来て下さった時に、今日の物づくりにおいて大切にしている事を当主のビンチェンゾさんにインタビューしたのですが、「常にできるだけお店に扱ってもらいやすい、仕立て易い生地を提供できる様に考えている」という謙虚なお返事に、カチョッポリの強みを感じました。
創業100年、生粋のナポリテイストを継承しつつ、常に顧客の要望に耳を傾けて寄り添い続ける、意識していない様に見せてしっかりとトレンドを抑えている、それがカチョッポリの魅力を作っています。明るい色使いや軽い風合いなど南イタリアらしいテイストをお求めの方、確かな技術に裏打ちされながらも雰囲気も着心地も軽快でどこか肩の力の抜けた空気感をお求めの方にぜひお勧めしたい生地ブランドです。