既製の英国ブランドスーツのお直し・大改造

今回は当店のRepair and Reformによるスーツのサイズ直しについて。お客様よりスーツの大幅なサイズ直しをご依頼頂いたので、ご紹介致します。以前お体が大きかった頃に購入された、某英国ブランドの既製スーツ。その後肉体改造によりぶかぶかになってしまったそうですが、お気に入りのスーツということもありダメ元で直せるかどうか見て欲しいとのご相談を頂きました。

拝見したところ確かに大幅なサイズ直しが必要な状態ではありましたが、十分に着て頂ける状態にはできると判断し、お直しさせて頂くことになりました。

まずはお修理前の状態から。

[before]

ジャケット

20201211_suitsreform_2.jpgもともと少し大きめのサイズでスーツを購入された事もあり、胸もお腹もゆったりとしています。せっかくのスマートな体型にフィットしておらず、このままだと残念な雰囲気です。

20201211_suitsreform_3.jpg後身頃もメリハリが無く、すとんと落ちています。肩幅ももう少し小さい方がシャープに見えます。

そして、こちらはサイドベンツのデザインですが、せっかくだからイメージチェンジしようという事で、よりすっきりと見せるためにベントを閉じて、ノーベントに改造する事となりました。

パンツ

20201211_suitsreform_4.jpgパンツはウェスト、ヒップ、太もも周りとかなりのオーバーサイズです。さらにもともとの丈(股下)が少々長くクッションが入り過ぎて、締まらない印象になってしまっています。

ベスト

20201211_suitsreform_5.jpg一緒にお持ち頂いたベスト。こちらもかなりゆったりしていて、お直しさせて頂く甲斐があります。

20201211_suitsreform_6.jpg前身頃が体から浮いてしまっています。

20201211_suitsreform_7.jpg後ろ身頃もぶかぶかです。

フィッティング

今回は大規模なサイズ調整を行うので、お客様にご了承頂いた上でスーツにピンを打たせて頂くことで、仕上がりのフィット感を体感頂きつつ、鏡で仕上がりのイメージを確認頂きながら、お直しする寸法を決めていきました。

ジャケット

20201211_suitsreform_1.jpg詰める寸法の目安でピンを打ちました。肩幅を詰めると共に、肩甲骨の下辺りからウェスト、ヒップまで、お体に自然に沿う程度まで詰めます。
・肩幅-2cm
・ウェスト-4cm
・ヒップ-4cm

20201211_suitsreform_8.jpgピン打ちをした状態で前から見たところ。自然なフィット感が出てきて、すっきりとした印象に。

パンツ

20201211_suitsreform_9.jpgパンツは大幅にウェスト、ヒップ、太もも周り(渡り)を詰めると共に、ハーフクッションくらいになる様に股下を詰めます。画像では分かりにくいですが、太ももから膝にかけて内股にピンを打ったので、ピン打ち前と比べすっきりと見えます。
・ウェスト-4.5cm
・渡り一周-3.5cm
・股下-2.5cm

20201211_suitsreform_10.jpg左が太もも周りと股下を詰めた状態。詰める前の右と比べると、こんなに印象が違います。

ベスト

20201211_suitsreform_11.jpgベストのピン打ち。ベストは2サイズ以上大きく、バスト・ウェスト・裾と大胆に削ります。裏地にピン跡が残る恐れがあるので、本来はピン打ちは避けたいところですが、今回は詰め寸が大きくお客様に着用感を体感頂く為にも、ご了承頂きピンを打たせて頂きました。
・バスト-8cm
・ウェスト-8cm
・裾-8cm

20201211_suitsreform_12.jpgベストは体にこの位沿わせたいところです。ただし立った状態で良いフィット感でも、座った時に窮屈に感じることがあります。この後座って頂いた状態でフィット感を確認し、OKを頂きました。

20201211_suitsreform_13.jpgピン打ちした状態で前から見たところ。バスト、ウェスト、裾とフィットした事でお体のラインが出て、ぐっと格好良くなりました。

以上でお修理の内容は決定。お客様にも大改造を楽しみにして頂いております。それからお修理の職人に依頼をして、2週間程でお修理が仕上がりました。

[after]

ジャケット

20201211_suitsreform_14.jpgお客様のスマートな体型と、元のスーツのデザインを考慮して、ピタピタにしない程度で全体を詰めさせていただきました。肩幅に加えてバスト、ウェスト、ヒップとお詰めしましたが、お修理したとは分からない位ナチュラルな仕上がりです。

20201211_suitsreform_16.jpg
ウェストをシェイプする事で、胸からウェスト、裾にかけてドレープが生まれました。

20201211_suitsreform_20.jpg後ろ身頃も背中に自然に沿って、良い感じです。ウェストだけ詰めるのでは無く、肩甲骨付近からヒップまで繋げて詰めることで、無理のない仕上がりとなっています。「ベント閉じ」をした裾もシャープな印象に。

パンツ

20201211_suitsreform_22.jpgパンツもウェストとヒップ、太もも、そして股下が合った事で、見違える様に美しいラインとなりました。お客様のスタイルの良さが引き出される仕上がりに。

本開き(本切羽)加工

今回サイズ調整と「ベント閉じ」以外にも、見た目をグレードアップさせるお修理をリクエスト頂きました。ボタンはもともと明るい茶色の水牛ボタンが付いていましたが、ロロ・ピアーナ社の少し光沢のあるグレー生地によりマッチする様にと、貝ボタンのグレーに交換。さらに袖口は「開き見せ」といって飾りのボタンとボタンホールが付いている状態でしたが、こちらを実際に開閉ができる「本開き」にさせて頂きました。

20201211_suitsreform_23.jpg4つボタンの重ね付け。バランスの良い重なり具合が職人の腕の見せ所です。ボタンの付け方は、弊店のオーダーですと「鳥足掛け」が基本ですが、こちらのスーツはもともと「クロス掛け」でしたので、元の付け方を尊重して、クロス掛けに。

20201211_suitsreform_24.jpg実際に開けるとこんな感じです。

ベスト

そしてベストも良い感じに仕上がりました。20201211_suitsreform_26.jpgお体に自然に沿うようになり、スタイルがより良く見えます。このくらいフィットしてくると、ベスト本来の背筋が伸びる様な着心地が味わえます。

20201211_suitsreform_27.jpg後ろ姿も、裏地の余計な余りなど無く、ばっちりです。上着を脱いでも様になります。

ご用命くださったお客様にも、とてもご満足いただけるスーツリフォームとなりました。一から仕立てるオーダーメイドとは違い、既に完成しているお召し物のリフォームは構造上の制約も多く、ご希望通りに直せないこともございますが、全体のバランスを見ながら、またご予算との兼ね合いを考えながら、出来るかぎりのお直しをさせて頂きます。何も大がかりな寸法調整をしなくても、腰回りや丈など、基本的な寸法を整えてあげるだけでも見違えるようになります。

オーダースーツのフィッティング技術を活かして、最適なご提案をさせて頂きますので、仕上がりにはご満足頂けることと思います。また、お直しに際しては進行前にお見積もりをお伝えして、その上で直すか直さないかご判断頂きますので、その点も安心してご用命頂ければと思います。皆様のご相談を楽しみにお待ちしております。ご相談はContactフォームから。

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Repair and Reform ジャケットのエルボーパッチ&パンツの股ずれ補修 2021SSリコメンドファブリックvol.1 Caccioppoli 「Suits」「Jackets」
Posted by Tomohiro Hayashi
林 倫広

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