雨対策:これでスラックスの折り目の悩みとは永久におさらば。「センタークリースステッチ加工」
雨や湿気が多い時期はスラックスを履くのが憂鬱という方も多いのでは無いでしょうか。その原因の一つはスラックスの折り目、「センタークリース」(クリースライン)が湿気により消えてしまう事にあると思います。
そもそもセンタークリースとは何でしょう。creaseクリースとは英語で折り目の事。特にスラックスの前後中心に入れる折り目を指す言葉として、"center crease"センタークリースという用語が世界共通となっています。このディテールの起源には諸説ありますが、19世紀末に英国王室で誕生しその後定着したと言われています。
そんなセンタークリースはスラックスのシルエットを支える骨格の役割を果たしていると私は考えています。
折り目が前身頃と後ろ身頃の中心を通る事で、それが芯の様な役割を果たしてパンツの筒が真っ直ぐに落ち、横では無く前後にボリュームが出る事で、前から見た時に細く、横から見た時に立体的に見える様になります。
スラックスの設計上もこのセンタークリース線を中心線として裁断し仕立てられているので、何と無く真ん中に見た目のアクセントで折り目を付けている訳でな無く、仕立ての観点から見てもとても重要な線なのです。センタークリースは見た目にも設計上も大事な線なのです。
視覚的な効果だけではありません。ビジネスシーンや軍服などの制服の例を出すまでも無い事ですが、センタークリースがしっかりと入っている事は、身嗜みの細部にまで気を配っている事、常に備えが出来ている事の証となり清潔感や信頼感に繋がります。このセンタークリースが消えると本来の設計で狙ったシルエットが崩れ、横に広がった様な締まらないシルエットになってしまい、筒が真っ直ぐに落ちません。結果としてだらしない印象になりがちです。
センタークリースはもちろんプレスで復活します。しかしばっちりプレスをして家を出たのに、お天気が悪かったり湿気が多かったりで半日も経たずにセンタークリースが取れてしまったというご経験をされた方も多いのでは無いでしょうか。
そんなお悩みに応える対策の一つとしてこちらはいかがでしょうか。「クリースステッチ加工」という手法です。
センタークリースは通常アイロンを用いたプレスでのみ折り目を定着させていますが、その折り目のぎりぎりキワを細かくミシンで縫ってクリースラインを縫い付ける事で半永久的に折り目を消えなくする手法です。
職人がぎりぎりの端を狙って細かくミシンで縫うので、言われてじっくり見ないと縫われている事は分からない位です。
今回クリースステッチをまとめてご依頼下さったお客様に特別にお許しを頂いて、お手持ちのパンツ(ジャージー素材)のbefore afterを撮影させて頂きました!
before柔らかいジャージー素材という事もありセンタークリースがぼんやりしています。
after折り目がビシッと立体的に入りました!
before2先ほどのパンツの後ろ側
after2見違えました。夏場に汗をかいた状態で座っているとモモの裏側の折り目がすぐに消えてしまいますが、これでその悩みからも開放されます。
before3もう1本のベージュ。多少ハリのある素材ですが、すぐ消えてしまいそうな雰囲気のクリースライン。
after3気持ち良く通ったクリースラインに。
before4ベージュのパンツの後ろ側
after4美しい折り目。これだけしっかりクリースラインが入っていますと、多少全体がシワになってもちゃんと見えるのも嬉しいポイントです。クリースステッチ、良い事ずくめです。
私もクリースステッチを入れてみました!ラルスミアーニのコットンで仕立てたパンツです。
タックの上ぎりぎりまでステッチが入っています。
ダブルでもこんな感じでステッチが入れられます。
履いてみました!いつもより太めのシルエットにしたのですが、クリースラインの効果によりすっきりとしたシルエットに見えます。縦長効果抜群です。
横から見た時の立体感もばっちりです。
という訳で大いにお勧めのクリースステッチ、いかがでしょうか?
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