梅雨特集1「スラックスの折り目対策」

雨や湿気が多い時期はスラックスを履くのが憂鬱という方も多いのでは無いでしょうか。その原因の一つはスラックスの折り目、「センタークリース」(クリースライン)が湿気により消えてしまう事にあると思います。

そもそもセンタークリースとは何でしょう。creaseクリースとは英語で折り目の事。特にスラックスの前後中心に入れる折り目を指す言葉として、"center crease"センタークリースという用語が世界共通となっています。このディテールの起源には諸説ありますが、19世紀末に英国王室で誕生しその後定着したと言われています。

そんなセンタークリースはスラックスのシルエットを支える骨格の役割を果たしていると私は考えています。

折り目が前身頃と後ろ身頃の中心を通る事で、それが芯の様な役割を果たしてパンツの筒が真っ直ぐに落ち、横では無く前後にボリュームが出る事で、前から見た時に細く、横から見た時に立体的に見える様になります。

スラックスの設計上もこのセンタークリース線を中心線として裁断し仕立てられているので、何と無く真ん中に見た目のアクセントで折り目を付けている訳でな無く、仕立ての観点から見てもとても重要な線なのです。センタークリースは見た目にも設計上も大事な線なのです。20200627_02.jpg

視覚的な効果だけではありません。ビジネスシーンや軍服などの制服の例を出すまでも無い事ですが、センタークリースがしっかりと入っている事は、身嗜みの細部にまで気を配っている事、常に備えが出来ている事の証となり清潔感や信頼感に繋がります。このセンタークリースが消えると本来の設計で狙ったシルエットが崩れ、横に広がった様な締まらないシルエットになってしまい、筒が真っ直ぐに落ちません。結果としてだらしない印象になりがちです。

センタークリースはもちろんプレスで復活します。しかしばっちりプレスをして家を出たのに、お天気が悪かったり湿気が多かったりで半日も経たずにセンタークリースが取れてしまったというご経験をされた方も多いのでは無いでしょうか。

そんなお悩みに応える対策の一つとしてこちらはいかがでしょうか。「クリースステッチ加工」という手法です。

20200627_03.jpgセンタークリースは通常アイロンを用いたプレスでのみ折り目を定着させていますが、その折り目のぎりぎりキワを細かくミシンで縫ってクリースラインを縫い付ける事で半永久的に折り目を消えなくする手法です。

職人がぎりぎりの端を狙って細かくミシンで縫うので、言われてじっくり見ないと縫われている事は分からない位です。

今回クリースステッチをまとめてご依頼下さったお客様に特別にお許しを頂いて、お手持ちのパンツ(ジャージー素材)のbefore afterを撮影させて頂きました!

before20200627_04.jpg柔らかいジャージー素材という事もありセンタークリースがぼんやりしています。

after20200627_05.jpg折り目がビシッと立体的に入りました!

before220200627_06.jpg先ほどのパンツの後ろ側

after220200627_07.jpg見違えました。夏場に汗をかいた状態で座っているとモモの裏側の折り目がすぐに消えてしまいますが、これでその悩みからも開放されます。

before320200627_08.jpgもう1本のベージュ。多少ハリのある素材ですが、すぐ消えてしまいそうな雰囲気のクリースライン。

after320200627_09.jpg気持ち良く通ったクリースラインに。

before420200627_10.jpgベージュのパンツの後ろ側

after420200627_11.jpg美しい折り目。これだけしっかりクリースラインが入っていますと、多少全体がシワになってもちゃんと見えるのも嬉しいポイントです。クリースステッチ、良い事ずくめです。

私もクリースステッチを入れてみました!ラルスミアーニのコットンで仕立てたパンツです。20200627_12.jpg

20200627_13.jpg

20200627_14.jpgタックの上ぎりぎりまでステッチが入っています。

20200627_15.jpgダブルでもこんな感じでステッチが入れられます。

履いてみました!20200627_16.jpgいつもより太めのシルエットにしたのですが、クリースラインの効果によりすっきりとしたシルエットに見えます。縦長効果抜群です。20200627_17.jpg横から見た時の立体感もばっちりです。20200627_18.jpg

という訳で大いにお勧めのクリースステッチですが、一点お伝えしたい点があります。

じっくり見ても分からないくらいの高い精度の加工ではありますが、やはりステッチを入れる結果少しスポーティーな雰囲気が増します。その為ダークスーツなど格式の高い服には雰囲気的にミスマッチな加工だと思います。お勧めはコットンパンツ、リネンパンツ、ジャージーパンツ、単品のウールスラックス等。ショーツやあえてジーンズに入れるのも良さそうです。

本題に戻しまして、「じゃあスーツのパンツのセンタークリースが消えてしまう問題はどうしたら良いの?』というお声が聞こえてきそうですが、その対策は次のNewsにご期待下さい。

クリースステッチ加工・前後の折り目線にステッチをお入れします。・納期は約1週間です。・料金はパンツ1点につき2,000円+taxです。・弊店でのオーダー品はもちろん、お持ち込みのパンツでも喜んで承ります。※素材や仕様によっては加工が難しい場合がございます。 

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Posted by Tomohiro Hayashi

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