TDL Bespoke Line 「ビスポークジャケット」レビュー

hayashi
店主
林 倫広

お客様にご注文頂いた、フランネルのビスポークジャケットをご紹介させて頂きます。さりげなさの中にこだわりの詰まった素晴らしいジャケット、ぜひご覧下さいませ。

お客様のビスポークジャケットをご紹介させて頂きます。早速仕上がりを見ていきましょう。

O様 ビスポークジャケットの仕上がり

20220322_bespokeline_jacket_11.jpg3つボタン段返り。ポケットはあえての両玉縁フラップあり。とてもバランス良く仕上がりました。

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様々な生地の流れが集まる場所。見所がぎゅっと詰まっています。

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涙型のフラワーホール。さりげなく、とても美しいです。

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曲線が控えめなバルカポケット。柄がしっかりと通っています。チーフをさすのが憚られるくらい、胸と一体化しています。

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袖口は三つボタンをキッシングで。

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腰ポケットも柄がばっちり合っています。フラップの角の丸みまで、全体との相性を考えてこの形になっています。

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腰のカーブにしっかり馴染んだポケット。地味なポイントかも知れませんが、とても大切です。

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文句なしのショルダーラインとゴージラインの関係。このアングル、たまりません。

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とっておきのビスポークジャケットにお選び頂いた生地は、FOX BROTHERS(フォックス・ブラザーズ)。フォックスの歴史あるアーカイブの中から、選りすぐりの色柄を現代に復刻したVINTAGE FOX(ビンテージ・フォックス)よりグレーのワントーンのチェックをセレクト。 スモーキーで絶妙なニュアンスのあるフランネル、フォックスらしさ全開です。

ご試着

20220322_bespokeline_jacket_20.jpgグレーのパンツと合わせてご着用頂きました。こちらのパンツは、仮縫いの際にビスポークジャケットに合わせてMTMで追加オーダー頂いたもの。同トーンの上下で、とても上品にまとまっています。
 良い仕立てを探求される一方で、着こなしは常にアンダーステイトメントを良しとされるお客様。「とにかく普通で、他の人の目を引かない良さ」を求められています。

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フロントカットの開き具合。ウェストのシェイプ具合。全ての繋がりが良い塩梅です。

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肩のしっかりとしたお客様ですが、ナチュラルショルダーでソフトな印象。袖の付け根から胸にかけてのラインが、すっきりとしていて無駄がありません。

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前肩の強いお客様で、肩が合わないと着ていて疲れたり、動きにくいジャケットとなってしまいます。その点が着心地の焦点でしたが、羽織って頂いたところ、「軽いですね。柔らかいですね!」と笑顔で大満足のご様子。

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弊店ビスポークラインの特徴でもある、前身頃と後身頃の間のパーツ(細腹)が無く、2面体で仕立てられたジャケット。裾まで貫通したダーツがそれをさりげなく主張します。腰ポケットのフラップの形状や幅など、言うことがないバランス。

 お納めした後も何度かお召しになって弊店にお越し頂きましたが、その度に「いやー、ビスポークのジャケット、最高ですよー!」とお喜びのお声を頂いています。既に次作のご相談も頂いており、すっかりビスポークのファンになって頂けたご様子。

今回の仕立てを通じて感じたこと

 前肩成形など、お客様の体型のお悩みを解決する適切な補正と、その結果としての良い着心地がビスポーク・ラインの良さであることもちろんです。
 しかし、体型補正に加えて、仮縫い・中本縫いを経てのボタン位置やポケット位置、フロントカットなどの各パーツと各ディテールの突き詰めたバランスの良さが、ビスポーク・ラインの強みと感じました。
 バランスですので、パッと見て伝わる派手なポイントではありませんが、長くご愛用頂くにふさわしい、完成された好ましいバランスに仕上げることができると、改めて実感しました。

 また、今回のお客様の様に、良い仕立てでありつつ「さりげなさ」をお求めのお客様に対して、手縫いを多用しつつあえてそれを前面に出さない控えめな仕立てにできるのもポイントだと感じました。一括りにビスポークと言っても、お求めの仕上がりの雰囲気はお客様それぞれ。お客様好みに味付けの強弱ができるというのも、ビスポークの大きな魅力だと思いました。

10人10色のビスポーク・ライン。次回レビューもお楽しみになさって下さい。

Photo Gallery

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Posted by Tomohiro Hayashi
林 倫広

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