ビスポークシューズ 受注会レポート

hayashi
店主
林 倫広

弊店のビスポークシューズ受注会の様子をアップさせて頂きました。ビスポークシューズならではのお客様の採寸風景や、素敵な仮縫いのシューズなどをご紹介させて頂いております。初めてビスポークシューズをお求めになる方の参考になれば幸いです。

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仮縫いのシューズたち。奥の2足は透明の樹脂で出来ていて、1回目の仮縫い。手前の3足は革で、2回目以降の仮縫いとなります。パティーヌ仕上げをご依頼頂いたお客様には、実際にパティーヌを施した仮縫いで色をご確認頂きます。

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お客様のフィッティング風景をご紹介して参ります。

I様

お仕事柄ダークスーツにブラックの革靴がI様のスタイル。ほぼ毎日履かれる革靴ですが、足にお悩みを抱えていらして、今まで既製やパターンオーダーなど数々の革靴を試しながら、正解が見つからずに我慢して履かれていたそうです。今回弊店にてシャツとネクタイをお仕立てさせて頂いたのをきっかけに、ビスポークシューズもお試し頂くこととなりました。

今回は仮縫い前の最初のフィッティング。

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念入りに足を触って確認します。下の紙には足の周りをペンでなぞって足型を取ります。

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このお尻を床につけた独特の座り方が、採寸する時の白濵氏のお馴染みのスタイル。

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特別な計測機で、足の高さ等を測ります。

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メジャーで足の周囲を測ります。立体的に足のサイズを把握します。

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続いて左足。私もそうですが、長さや形など、実は左右で足はかなり違います。

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測りながら、じっくりとヒアリングをさせて頂きます。お客様も、ようやくこれで足の悩みから開放されると、とても楽しみにされると共に、晴々とした表情をされていたのが印象的でした。4ヶ月後の受注会で、透明樹脂の1st仮縫いをさせて頂く予定です。

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靴のデザインと革をお選び頂いた後。ブラックカーフの5アイレット、ワンピース・プレーントゥで、究極にシンプルなビスポークシューズをお仕立てすることとなりました。

K様

K様は弊店にてビスポーク・ラインのスーツもお仕立て中のお客様。靴も服も、本当に気に入った良いものを数少なく持ちたいというお考えの方です。靴をお探しで、比較的足に合う既製靴をまとめて購入しようと検討されていたところ、弊店で開催されるYUKI SHIRAHAMA BOTTIERのオーダー会を知り、下見にご来店。既製靴の代わりにビスポークシューズをお仕立てさせて頂くこととなりました。

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K様は2回目の仮縫い。当初ブラックかダークブラウンのカーフでご検討されていましたが、大変光栄なことに私のパティーヌを施したビスポークシューズを気に入って頂き、同様に極めて濃いブラウンのパティーヌで仕上げることとなりました。

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こちらの仮縫い、良く見て頂くと左右で穴飾り(ブローキング)の入り方が異なります。穴飾りの入れ方をお悩みだったので、仮縫いで確認頂ける様にと、白濵氏が左右でパーフォレーションを変えた仮縫いを作ってくれました。この様な手間を惜しまないケアも、ビスポークならではです。

キャップの切り替え部分にだけ穴飾りを施した右足が「パンチド・キャップトゥ」、羽根やかかと周りにも穴飾りを施した左足が「クォーター・ブローグ」ということになるでしょうか。私の1足目のデザインは、左足の「クォーター・ブローグ」です。

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シンプルをとるか、見所の多さを取るか、どちらも格好良くて、お客様も大変お悩みでした。

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お仕事帰りにお立ち寄り頂き、いざご試着。この日をとても楽しみにして頂いたのが伝わってきます。

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白濵氏はとにかくお客様とのコミュニケーションを大切にします。丁寧に確認と説明を繰り返す姿勢は、私もとても勉強になります。

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弊店のお立ち台でフィッティングの確認。

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夜の銀座は良い雰囲気で、このまま一杯行きそうに見えますが、もちろんそうではありません。仮縫いのシューズを履いて京橋公園の周りを歩いて頂きました。やはり履いて歩いて頂いてこそ、分かることがあります。

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靴もスーツも、ビスポークと言う名の通り、対話を重ねれば重ねる程、ご満足頂ける仕上がりに近づくと思います。その点、2回3回と重ねる仮縫いは、フィッティングという目的に加えて、とても貴重な対話の機会を作っていると言えます。つくづく、ビスポークとは良く出来た仕組みだと思います。

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仮縫いとは言え、履きジワの入り方など既にかなり良い感じです。本縫いではソールが黒になるので、もっと全体の印象が締まります。

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しばらく歩いて頂いた後に、革が刺さらないか、またキャップの長さなども確認。

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最終の微調整と穴飾りの最終決定の為に、次回の受注会で3回目の仮縫いをさせて頂くことになりました。2回目の仮縫いでかなりの完成度だったので、どこまで完成度が上がってしまうのか、怖いくらいです。

H様

H様は比較的趣味性の高い靴をご注文頂きました。ご自身の中でこの様な靴をオーダーしたいというはっきりとしたアイデアをお持ちで、そのアイデアをじっくりヒアリングさせて頂いた上で、白濱氏がデザイン画を描いて具現化させて頂きました。

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今回が2回目の仮縫い。3アイレットのVフロント・ダービー。奇しくもH様もダークブラウンのパティーヌ仕上げ。ドレッシングラボで進行中のビスポーク・シューズのうち、3足がパティーヌ仕上げ。面白い偶然です。

H様の仮縫いも左右であえて異なる部分があるのですが、お分かりになるでしょうか。

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正解は紐を通す羽根部分(アイレットタブ)の革。ベースはパティーヌのダークブラウンで、アイレットタブの部分だけテクスチャーを変えるというH様の構想。外羽根ですがサドルシューズとも呼びたくなる様な趣で、本当に格好良いです。右足はバイソン、左足はシャーク。

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今回はこちらのシャークで進行させて頂くことになりました。端切れとは言え実際の革を使用して仮縫いを作るのはコストも手間もかかりますが、こうして一目瞭然で確認できるのであれば、十分その甲斐があります。

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いざご試着。期待が高まります。

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晴天で絶好の仮縫い日和。仮縫いを履いて頂いて、京橋公園の周りを歩いて頂きます。一緒に歩きながら、話は尽きません。

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靴の動きを観察する白濵氏。

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日の光の下で見るパティーヌの色合いが格好良いです!アイレット部分のテクスチャーも際立っています。エレガントなフォルムが本当に素敵です。

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しばらく歩いたところで、履き心地の確認。

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弊店に戻って、調整箇所の確認。微調整は直接仮縫いの靴に書き込んでいきます。

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今回で仮縫いは終了で次回はご納品ということもあり、細かく確認します。

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今回の仮縫い内容を反映して、4ヶ月後の受注会にて納品させて頂きます。仕上がりが本当に楽しみです!

最後に、私の2足目もご紹介。コインローファー(ペニーローファー)をお願いしました!

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1回目は透明樹脂の仮縫いからスタート。

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書き込みが沢山あるのは、調整部分。1足目から素晴らしく合っていたので、仮縫いは簡単に済ませるかと思いきや、1足目と変わらないくらいじっくりとフィッティングして頂きました。そしてオックスフォードとローファーはやはり全然違います。

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インソールには何とクッションが入っています。こういう柔軟なトライアルも白濵氏ならでは。このローファーはスニーカー並みに履き込んでやろうと目論んでおります。

あと楽しくも悩ましいのは革の選択。私はグレインレザー(揉み革)のブラックかダークブラウンが当初からの希望ですが、白濵氏からは「ローファーにうってつけのブラックカーフがあるので、長い目で見たら絶対それが良い」と勧められています。2回目の仮縫いで再び白濵氏と楽しい戦い(笑)。お客様のご要望と、それに対する職人のこだわりやお勧めがあり、対話を重ねながら一緒に良いものを作り上げる。私もビスポークの醍醐味を味合わせて頂き幸せです。

今後もお客様の完成したシューズや受注会の模様など、できるだけ撮影してレポートさせて頂きますので、お楽しみになさって下さい。

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Posted by Tomohiro Hayashi
林 倫広

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