ビスポークシューズ「Vフロントダービー」
お客様にご注文頂いた、ビスポークシューズをご紹介させて頂きます。異素材のVフロント、パティーヌと、ビスポークならではの楽しみが凝縮された一足。ぜひご覧下さい。
H様にオーダー頂いた、YUKI SHIRAHAMA BOTTIERのビスポークシューズ、Vフロントダービーをご紹介します。
まずVフロントダービーとは。「Vフロント」とは、その名の通り、前から見たときに羽根がVの字に見えることから名付けられました。ダービーは外羽根、それに対して内羽根はオックスフォードと呼ばれます。
H様は数年前から、フルオーダーの靴を仕立てるなら白濵結城氏に頼みたいとお考えだったそうです。この度満を持してのご注文となりました。ディテールについてもご自身でアイデアを温められており、Vフロントダービーで、羽根の部分を異素材で切り替えたいというご希望でした。
トゥや羽根の形状にもご希望があり、白濵氏がヒアリングをしながらスケッチに起こして、作成を進めました。仮縫いの際に、フィッティングやバランスの調整と併せて、羽根の形状の修正と、羽根の素材の選定を行い、この度のビスポークシューズの完成に至りました。仮縫いの模様は、こちらのBLOG記事をご覧下さい。
ビスポークでお仕立てしたH様オリジナルのVフロントダービーがこちらです。
アッパーは「パティーヌ」仕上げ。完成してから色を塗るのでは無く、明るい革に仕立てる過程で4回ほど染料を塗り重ねて、目指す色に仕上げていきます。一見焦げ茶色ですが、光が当たると濃い部分や明るい部分がマーブル調に見えて、複雑な発色を見せてくれます。デザインだけでなく、色までオーダーできるのが、パティーヌのビスポークシューズの魅力です。
パティーヌは塗っては休ませて、色を確認して、を繰り返す、非常に根気のいる作業ですが、それだけの価値があるため、白濵氏も一押しの仕上げです。見た目の美しさはもちろんのこと、パティーヌによって革が柔らかくなるので、履き心地が良く、さらには水濡れにも強いのが特徴です。また経年による色の変化も、パティーヌの味わい、楽しみと言えるでしょう。
H様のこだわりが形となった、美しいトゥ。ビスポークシューズならではのフォルム。
3アイレット。アイレットタブ(羽根)はダークブラウンのシャークスキン。パティーヌを施したアッパーとのコントラストが絶妙です。
美しく、また強度の高い、非常に細かいハンドソーンウェルテッド。
内側の景色にもほれぼれします。
くるぶしが刺さらない様、外側を深くえぐってあります。
ソールには滑り止めも兼ねた模様が施されています。ガラスの破片を用いて、一線一線手作業で施していきます。
ご試着
さて、いよいよH様に履いて頂きました!
第一声で、「すごい!」「格好良い!」と言って頂きました。白濵氏がミリ単位でバランスを調整した結果、すごく好ましくしっくりとくる靴に仕上がっています。
H様のお人柄もあるのでしょうが、美しくもけっして攻撃的でなく、柔和な印象。靴も服も然りですが、こういったお客様のキャラクターがモノに落とし込まれて表現できるのは、ビスポークならではの魅力と言えるでしょう。
アイレットタブ(羽根)のデザインが、全体のデザインととてもマッチしていて美しいです。
色の変化を見ようと太陽光に当てられたところ。光が強く当たると、パティーヌの透明感が際立ちます。
ダークブラウンのVフロントでしたら、普段のカジュアルからジャケットパンツ、さらにはスーツスタイルにも合わせられるでしょう。H様も慣らし運転含め、いつ履こうか楽しみにされていました。
H様のご感想
「想像していた以上の仕上がりです。」と、とてもお喜び頂きました。その後1時間くらい履いて鏡の前で様々な角度でご覧頂きつつ、お手入れの方法や、次のご相談などもさせて頂きました。心から完成を喜ばれているご様子でした。次回はオックスフォード(内羽根)で、今回気に入って頂いたパティーヌか、ゴートスエードも良いな・・・とご検討頂いております。
H様、この度は素晴らしいビスポークシューズのご注文を頂き、誠にありがとうございました。ずっと大切に温めてられていたアイデアを具現化するお手伝いをさせて頂き、大変光栄です。ありそうでないオリジナリティあふれるVフロントのご相談で、私も白濵氏も楽しませて頂きました。またお会いできるのを楽しみにしております。