総毛芯仕立てのスーツに新型登場!「ゴールド・モデル」

hayashi
店主
林 倫広

弊店ドレスラインに新しいモデルが加わりました!好評を頂いている弊店ビスポークのハウススタイルを、ファクトリーオーダーに反映したモデルです。雰囲気・着心地共に素晴らしく、既存の定番モデルとどちらでオーダーするか迷われること必至です。2モデルを比較しつつご紹介しておりますので、ぜひご覧下さいませ。

 ドレッシングラボのDress Lineに新しいモデルが加わりました。カジュアルで軽快さを追求した「Sports Line」に対して、「Dress Line」は、総毛芯のオーセンティックな縫製にて仕立てた、ドレッシーなオーダーメイドアイテムを展開しています。

 これまでDress Lineのスーツ、ジャケットは1モデルだけでしたが、おかげさまで創業以来大変好評を頂き、沢山のご注文を頂いて参りました。
 堂々とした印象でありつつ威圧感を与えないソフトさとチャーミングさが盛り込まれ、クラシックとモダンのバランスが良い型紙で、フォーマルシーンを始めどの様なシーンに着てもおかしくない、どなたにも好んで頂ける完成度の高いモデルと自負しております。

 新しいDress Lineの誕生経緯をお話しします。2021年に仕立て職人の小島氏の協力のもとBespoke Lineというフルオーダー(ビスポーク・スーツ)のサービスを開始しました。その際に、既存のDress Lineとは異なる、あえて少し主張の強いハウススタイルを小島氏と相談して作りました。
 イタリアはフィレンツェのスタイルとナポリのスタイルを融合させた様な、ありそうでないドレッシングラボ独自のスタイルです。このBespoke Lineのハウススタイルが大変好評を頂いたので、そのスタイルをメイドトゥメジャーの型紙に落とし込んで誕生したのが、今回ご紹介する新しいモデルです。

 今回新モデルが加わったことで、Dress Lineは2モデルの展開となりますので、それぞれに名前をつけました。既存のDress Lineを「シルバー・モデル」、フルオーダーであるBespoke Lineのハウススタイルをベースにした新型を「ゴールド・モデル」と呼んで参ります。前置きが長くなりましたが、「ゴールド・モデル」の特徴をご紹介して参ります。

ゴールド・モデルの特徴

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ナチュラルなショルダーライン、丸くて深いフロントカットなどは「シルバー・モデル」と共通の弊店らしいスタイルです。大きく変わっているところは、
・広めの肩幅
・シルバーモデルよりも低めのゴージライン
・あえてシェイプを緩めたウエスト
といった点が挙げられます。

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上襟の「のぼり」が高めですので、肩パッドの入らないナチュラルかつ大きめの肩のラインとの相乗効果で、撫で肩が強調されています。
 ウエストも絞りを弱めることで、端正できりっとした「シルバー・モデル」よりも、リラックスした、飾らない土着的な味わいを感じさせる雰囲気に仕上がっています。

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大きめの上襟と広めのカーブを描いたラペル。安定感のあるバランスです。

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この大きめの肩から胸に向かって繋がる袖の付け根の曲線や、カーブして肩線にほぼ並行になるゴージラインの角度などは、Bespoke Lineでこだわったハウス・スタイルの雰囲気が良く出ています。大好きなポイントです。

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フィレンツェの仕立てに見られる「斜めダーツ」を採用しています。既存の「シルバー・モデル」も今回の「ゴールド・モデル」も共に、細腹を無くして前身頃と後ろ身頃だけで構成されたシンプルな2面体の仕立て。ですが、フロントダーツでウエストシェイプを強めに表現している「シルバー・モデル」に対して、「ゴールド・モデル」は後ろ身頃に近いところに入った斜めダーツで、あえてボックスシルエットに近いシェイプにしています。
 この起源はブルックス・ブラザーズの「No.1サックスーツ」が代表するアメリカのサック(寸胴)シルエットの流れをイタリアのサルトが汲んだとも言われています。アメリカにしてもイタリアにしても、あくまで体に添わせつつリラックスした雰囲気に見せるのが、この意匠のポイントです。

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斜めダーツは袖に隠れるように入っているので、前から見るとダーツが無い様に見えます。この辺りもリラックスした見た目に寄与しています。また、袖と身頃の間に隙間が少ないことからも、シェイプの弱いシルエットであることが見て取れます。

ジャケット

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着てみました!せっかくなので着こなしのご紹介をさせて頂くと、生地はカチョッポリの2022年新作。ウールシルクリネンの3者混で、ブラウンとインディゴブルーをミックスしたチェック柄が好みのど真ん中でした。
 謎の柄がかわいいプリントのオーダータイを細く結んで、シャツは少々遊びまして、ブルーデニムで仕立てたウェスタンシャツを洗い晒しで着ています。リラックスした「ゴールド・モデル」だと、こういう遊びもすんなり受け止めてくれます。
 足元を引き締めてくれているシューズは、白濵結城氏に仕立ててもらったビスポークシューズの1足目。ブラウンのパティーヌのセミブローグがドレッシー過ぎずカジュアル過ぎず、このスーツにもぴったり合いました。

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「シルバー・モデル」ですとジャケットはウエストのシェイプがはっきり出る様に仕立てて、パンツも細めのテーパードがマイスタイルですが、「ゴールド・モデル」ではジャケットのウエストシェイプは弱めで、ボタンを止めてもシワが全く出ない位。袖幅も太めです。バランスを取ってパンツも太めのテーパードにしました。

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スーツを着る際はフロントボタンを掛けるのが基本ですが、この位リラックスした雰囲気のスーツですと、あえて前を開けてネクタイを風に泳がせて着たくなります。今回の生地の影響も大いにありますが、ふわっと軽くてリラックスした着心地です。

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後ろ姿。写真で改めて「ゴールド・モデル」のバックスタイルを見ましたが、高めの上襟からあえて落とし気味のショルダーラインが良い丸みです。砂時計のような肩〜ウェスト〜ヒップのシルエットもばっちりです!

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Bespoke Lineから踏襲したスタイルですが、この落とし気味の肩から胸にかけて斜めに入ってくる袖付け根のラインがたまりません。

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チェックだと生地の流れ(地の目)がよく分かります。単にリラックス感があるだけでなく、前肩成形がばっちりされていて、ものすごく肩周りが気持ち良いフィット感です。

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「斜めダーツ」は柄物だとこういう感じです。フラップ無しの両玉縁の腰ポケットは、Bespoke Lineからのマイスタイルです。もちろんフラップありやパッチポケット(アウトポケット)でのお仕立ても可能です。

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「シルバー・モデル」と比べると低めでゆるやかにカーブしたゴージライン。リラックス感を強調してきましたが、襟から肩にかけてしっかりとジャケットが乗るので、とても安心感のあるグッドフィットです。襟が抜けないのはもちろん、座っても襟が浮きにくいです。リラックスとフィットのメリハリが秀逸です。

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上襟の「のぼり」が良い感じです。あえて背幅もゆとりを多めにしています。これは職人の小島氏の受け売りですが、上襟を高く「のぼり」を強くすることで、撫で肩で無い方でも視覚的に撫で肩にすることができるのです。この見え方、とても好みです。

パンツ

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パンツというか、トラウザースと呼びたくなりますが、ジャケットと同じく「ゴールド・モデル」ならではの仕立てになっています。太いウェストバンド、2タック(2プリーツ)の太めのテーパードライン、短めの丈で、私なりのリラックスしたクラシックスタイルを表現してみました。
 もちろんお好みで通常のウエストバンド、ベルトループ仕様かサイドアジャスター仕様、タックの数(1タック、ノータック)もお選び頂けます。

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横から見るとウエストバンドの太さが感じて頂けると思います。身近な例えで恐縮ですが、腹巻の様な感じで安定感があります。タックのボリュームも良い塩梅です。

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太めのシルエットだからこそ、ルーズに見せない様ヒップからモモにかけてのすっきりとしたフィット感は重要です。私はヒップがしっかりしているのでお尻が食い込みやすいのですが、食い込まず余らずの良いフィッティングに仕上がっています。

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ウエストバンドのフロント部分、ファスナーの上の重なる様に伸びた部分を「持ち出し」と呼びます。太いウエストバンドの場合、この特徴的な持ち出しが標準となります。カーブしたベルトの形状がユニークです。

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持ち出しとサイドアジャスター(脇尾錠)、それにタック。表情豊かですが、まとまりもあります。

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パンツ単品でも存在感があります。ジャケットを脱ぐ機会の多い春夏、単品パンツのオーダーにもこちらのディテールはおすすめです。

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後ろから見ると太いウエストバンドゆえハイライズなのが分かります。後ろの中心にはV字のスリットが入ります。太いウエストバンドと引き上がったヒップラインは、足長効果も期待できます。私にとっても、すごく重要なポイントです!

「シルバー」と「ゴールド」の違い

 Dress Lineの新型「ゴールド・モデル」、いかがでしたでしょうか。既存のDress Line「シルバー・モデル」と比べますと、シルバーが端正でかっちりとしたフィッティングであるのに対して、ゴールドは個性が強めでリラックスしたフィッティングであると言えます。この辺りは、お客様のお好みやその時仕立てるスーツにお求めの印象によって、モデルを選択頂くのが宜しいかと思います。
 例えば、「ウエストがしっかりとシェイプしていて、肩幅もジャストフィットのスーツがオーダーしたい。パンツも細身が好み」という方にはシルバーをご提案します。逆に「上質感がありつつ肩の力の抜けた雰囲気のスーツがオーダーしたい。パンツもクラシックで少し太めが気分」という方でしたら、ゴールドがドンピシャだと思います。
 また、「ダークスーツはシャープな印象のシルバーで。フランネルなどより趣味性の高いスーツはゴールドで」など、お選び頂く生地によってベースとするモデルを変えるのも楽しいかも知れません。

 シルエット以外にも「シルバー・モデル」との違いがあります。シルバーは基本的にゲージサンプルを仮縫いと見立てて、仮縫いを挟まずにお仕立てを致しますが、ゴールドに関しては、1stフィッティングの後に仮縫いでフィッティングさせて頂いた上での完成となります。仮縫いを挟む分お時間は頂戴しますが、オーダーメイドの醍醐味をより楽しんで頂けるかと思います。

 「ゴールド・モデル」を既に先行でスーツやジャケットをオーダー下さったお客様からは、「楽な着心地でどこも窮屈で無いのに、フィットしている。」「股上の深いパンツが足が長く見える。フィット感も良い。」と大変好評を頂いております。店頭にはご試着頂けるサンプルもございますので、ぜひお試し頂けましたら幸いです。

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Posted by Tomohiro Hayashi
林 倫広

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